アーバンギャルドは不在の少女です。
或る日僕の目の前に現れた、歌のなかにいる少女です。
彼女にすっかり片想いして、
振り向かせようとしているうちに
長い月日が過ぎてしまった。
僕はすっかりいい大人、大人の男になってしまったけれど、
彼女はあの時のまま。
丸い鏡に閉じ込められて、微笑んでいます。

あなたの心の奥深くにも、彼女はいますか。
都市の片隅に、
閉じた本のページに、
クローゼットの暗闇に、
フィルムの数コマに、
歌の一節に、
忘れられない手紙の数文字に。

不在の少女は、
これを読むあなたかもしれません。
僕らの歌を何処かで耳にした、あなたかもしれません。
あなたに伝えたくて、これからも手紙を、
作品という手紙を綴り続けようと思います。

この歌が、
あなたの暗い足元を照らす光になれたら。
或いは、塞いだ心のページをめくる、
夜明けの風になれたら。

十年間ありがとう。
まだ、想っています。


松永天馬

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