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拝啓、芥永天馬 先生……宛名のない手紙(TM)

拝啓、芥永天馬 先生



寒い日が続いていますが、如何お過ごしでしょうか。

こちらでは雪がしんしんと降り注いでいます。

雪は空からの手紙だと昔の人は言いましたが、私もまた、

空飛ぶ橇に乗って、家々の煙突にプレゼントを投げ入れて回っています。


もうお気づきでしょう。私はサンタクロース。

あなたが言っていた、血まみれの神様です。


ところで、私たちサンタクロースは、何故子供たちの元にしか来ないのでしょう?

子供たちがおもちゃをねだるように、大人もプレゼントをねだればいいのに。


いえ、本当は分かっています。

大人だって欲しいものはあるに違いありません。

しかしながら、大人が欲しいものは、多くは手に入らないものなのです。


富や名声、かつての青春や夢、あなただって欲しいものはあるでしょう?芥永さん。

いや、芥永先生。あなたが欲しいものはそう…新作。

あなたは自分の新作小説を喉から手が出るほど欲している。そうだろう?


その願い、サンタが叶えて差し上げましょう。


今夜、あなたの行きつけのBAR、セブンペガサスで待っています。



あなたのサンタより



令和誤年十二月二十四日




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